この店名ってどういう意味ですか?たいていのお客さまに聞かれる質問です。
日本語に訳すと、『幸福の弟子』となりますが、私はよく、『幸せを伝える人』というふうにお伝えしています。
DISCIPLE DU BONHEURとは、幸せを求め、その実現に向けて努力する人、特に幸福や穏やかさを追求し、そのための教えや指針に従う人を意味するフランス語のフレーズです。
幸せとか幸福という言葉は日本語だと少したいそうというか、日常的に使うような使わないようなそんな単語ですよね。照れる?といいますか・・・。
あらためて、幸せとは?と聞かれるといろいろな答えが浮かんできます。私がお店での仕事を通して考える幸せとは、まさに『お茶の時間』なのです。
ただ喉が渇いたから何かを飲むだけの時間ではなく、飲みながら過ごす、飲み物が側にあってひとりで、あるいは誰かと過ごす時間が『お茶の時間』と考えています。
先日、ご高齢のご夫婦がご来店になりました。初めてお目にかかるお二人でした。紅茶をご注文いただきましたが、静かにこちらをじっとご覧になっていたので少し緊張しました。こんなビルの4階までようこそお越しくださいましたと申し上げると、この店名が気になって、それで探してたどり着いたよとおっしゃいました。
えーっ!そんなことってある!?ほとんどの方が読めないし覚えられないと言われるこの店名にひかれてご来店になるなんて!そんなお客さまは初めてです。店名の意味を聞かれたのでお答えするとフーンとうなずいていらっしゃいました。どんな風に思っていただけたのかはわかりませんが、途中からカウンターの他のお客さまともお話しが弾んでいたようでしたし、お帰りの際にはお二人とも素敵な笑顔になっていらしたのでホッとしました。この店名にどんなイメージを持ってご来店いただいたのかはわかりませんが、そのイメージから遠くなければ良いのだけれどと思っています。
開店当初から、ほとんどの方が私の名前の店と呼んでくださる当店です。ただ、開業5年目にはいった最近から私自身がこの店名に意義と責任を感じるようになってきました。と同時に、ようやくこの店名が好きになり誇れるようになりました。やっと、やっと今頃になってです。呆れますね。おかしいですね。
さあ、DDISCIPLE DU BONHEURとして果たしたいこと。店主として、この店名に恥ないよう、この店名の通りであるようにお茶やハーブが持つ素晴らしい成分などの事柄を伝えるのみならず、その飲み物を飲みながら、あるいは飲み物を囲むその輪の中で、誰しもが笑顔になり、健康になり、穏やかで、幸せなひと時の「お茶の時間』をお過ごしいただけるようお店に立っていたいと思います。その先にきっと、私がそうするだけでなく、お客さまや生徒さんが、自分自身と自分以外の誰かに幸せを運ぶ『お茶の時間』をきっと大切にしていってくださるだろうと思っています。